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免税制度改正で経理業務はどう変わる?実務への影響を解説

1.輸出物品販売場制度のリファンド方式への見直しとは?
令和7年度税制改正により、2026年(令和8年)11月1日から「輸出物品販売場制度のリファンド方式への見直し」が実施されます。
免税制度改正において、経理担当者が把握しておくべき内容を紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
1.制度が改正される背景
1.高額購入者による不正利用と消費税徴収の困難さ
令和4年4月から令和6年3月にかけて、1億円以上の高額免税購入者が多数存在しますが、その9割近くが、出国時に旅券提示を回避するなどして税関検査を逃れています。仮に捕捉して消費税の賦課決定を行っても、ほぼ全てが納税せずに滞納のまま出国しており、不正利用への対応が困難な状況にあります。
2.免税店への過度な負担と善良な旅行者の利便性低下
免税店は、不正利用防止のため自主基準を設けたり、免税販売自体を停止したりするなど、税務リスク対応に追われています。これにより、販売機会の逸失や現場でのトラブルが増加し、免税店は販売サービスに専念できないという負担を抱えています。結果として、善良な外国人旅行者でさえも免税購入ができなかったり、店舗によって対応が異なったりすることで、利便性が損なわれ、訪日旅行の満足度低下につながっています。
これらの課題に対処するため、制度の見直しが必要とされています。
2.現行制度との違い
リファンド方式の制度概要や現行制度との比較、変更点については、別のページに詳細がまとめられていますので、そちらをご確認ください。
詳細はこちら
2.リファンド方式への見直しが経理に与える影響
1.振替処理関係
1.課税売上げから免税売上げへの振替処理
・リファンド方式では、免税対象商品の販売時点では「課税売上げ」として処理し、後日税関確認情報を得た場合に「免税売上げ」へ振り替えます。
・振替は、税関確認情報を取得した都度でも、月次など一定期間まとめてでも、どちらの方法でもかまいません。
出典:国税庁/輸出物品販売場制度に関するQ&A(リファンド方式・概要編)
2.課税期間をまたぐ場合の処理
・期末までに税関確認情報を取得できない場合
― 例:販売=X1期、税関確認情報保存=X2期
→ X1期ではいったん課税売上として計上し、X2期で免税売上として処理することが認められています。(継続処理が条件)。
・ X2期での振替方法は、以下のどちらでも可能です。
① X2期に対価の返還等があったものとして処理
② X2期の課税売上合計からX1期で課税計上した額を控除
出典:国税庁/輸出物品販売場制度に関するQ&A(リファンド方式・概要編)
3.インボイス(適格請求書)の交付義務
・免税対象物品の販売相手は外国人旅行者等なので、インボイス交付義務はありません。
・任意でインボイスや簡易インボイスを交付しても問題ありません。
・後日、税関確認情報により免税が確定しても、すでに発行したインボイスの訂正などは不要です。
・利便性のため、インボイスに「税関確認後は免税となる」等のスタンプ表示は可能です。
2.返金手続関係
1.返金手続の主体
・返金(消費税相当額の返金)は輸出物品販売場の事業者自身または承認送受信事業者などに委託して行うことができます。
・返金方法は法令で定めはなく、銀行振込、クレジットカード送金、アプリ送金、出国港での現金返金などが考えられます。
2.返金できなかった場合の処理
・税関確認情報を保存していれば返金できなくても免税の適用は受けられます。
・返金先口座の誤りなど購入者側の都合で返金できず返金不要となった場合、その消費税相当額は「雑益(不課税)」で処理することになります。
3.まとめ
・経理担当者は課税売上げから免税売上げへの振替処理、未返金時の雑益処理など実務ポイントを把握しておく必要があります。
・今回の見直しで新たに発生する会計処理を会計システム(または販売管理システム)にどのように反映させるか、新たな運用体制構築が必要です。
4.免税システムならJ-TaxFreeシステムがおすすめ
今回の免税制度改正により、すべての事業者に免税購入対象者への消費税相当額の返金対応が求められています。
また、購入記録情報だけでなく、税関確認情報(免税対象物品の持出しを税関が確認した旨の情報)の取得・保存義務が発生します。
これから免税販売を始める場合や既に行っている場合は、ご利用のシステムが2026年の制度改正に対応できるか必ず確認しましょう。
J-TaxFreeシステムなら、免税システムの提供のみならず、免税購入対象者への返金対応まで一気通貫でサービス提供いたします。
また、専用の管理画面にて免税売上や購入者の属性(国籍など)の閲覧や、税務処理に必要な税関確認情報等の取得が可能です。
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